浴室の床のヌメリをなんとかしたい!原因と対策を解説!
スーパー銭湯など温浴施設では、「床が滑りやすくなっております。ご注意ください」と書かれた張り紙があることもあります。温泉の成分だから仕方ないものだ…と諦めていませんか?温浴施設清掃のプロが、床のヌメリを解説します!
温泉成分で床が滑るのはウソだった!?ヌメリの正体
床のヌメリは口の中のネバネバと同じもの
「温泉成分により、床が滑りやすくなっています」って書いてるけど。。…温泉成分が原因じゃないの?
ずばり、床のヌメリは「バイオフィルム」という、細菌などの微生物が形成した膜が原因です。細菌などが自分たちを外敵から守るために作るもので、多糖やタンパク質などの物質で覆われています。いわば、細菌のお家のようなものです。
「バイオフィルムの発生」というと、特殊な現象のように感じられますが、実は水分が発生する場所ではどこでも発生するものです。身近なところでいうと、口のねばつきも、このバイオフィルムが原因です。つまり、温浴施設のヌメリとは、温泉の成分ではなく、口のねばつきと原因を同じくする、「細菌と細菌の家」がその正体なのです。
どのようにヌメリが発生するのか
近年の研究において、単細胞生物である微生物も、人間と同じような手順を踏んで生存競争に勝ち残っていることが分かっています。人間が新しい場所に住むときは、下記のような手順で住む場所を決めますよね。
- そこが住むにふさわしい安全な地域かどうか考える
- お互いが心地よく暮らすために隣近所の人たちと付き合い(情報交換)する
- 家族構成や周囲の環境が変化するとさらに別の場所を求めて引っ越す
実は、細菌も全く同じように、住む場所が安全かどうか確かめ、細菌同士でコミュニケーションをとり、家族を増やし、家が狭くなると独立して、また新たな場所を探す。。というライフサイクルを送っています。
細菌などの微生物にとって、石鹸の残りカスや皮脂は栄養満点の食べ物ですし、高温多湿な環境は住み心地が抜群な一等地です。バイオフィルムが形成されると、細菌は膜に覆われることになるので、膜内で増殖しても水に流されることなく、そこに留まり続けることができます。その結果、まるで街にマンションが乱立するように三次元的なバイオフィルムが形成され、微生物と比べるとはるかに“大きな”人間も滑ってしまうぐらいのヌメリになるのです。
レジオネラ属菌のすみかになる
高級温泉旅館で基準値を大幅に超えるレジオネラ属菌が検出されたと報道もあり、温浴施設業界が抱える大きな課題の1つである、レジオネラ症。呼吸器系の日和見感染症であるレジオネラ症は4 類感染症であり、近年では年間2000件を超えて発生し、年々増加傾向にあります。
レジオネラ属菌は、元来、土壌中に生息しているといわれ、これらが人工的な水環境に侵入し、そこで増殖したレジオネラ属菌がヒトへ飛沫核感染(空気感染)すると考えられています。このような感染経路から、水の消毒が重要だと考えられていますが、浴槽水等の消毒だけでは一時的なものに過ぎず、根本的な対策だとはいえません。
何故ならば、レジオネラ属菌の増殖は、バイオフィルムの中、つまり“レジオネラ属菌のすみか”で起こるものだからです。根本的に、バイオフィルムを除去すること=ヌメリを除去することがレジオネラ症対策として必須なのです。
ヌメリの対策方法とは?
ヌメリをそもそも全く発生させない方法、バイオフィルムの発生防止に対する特効薬は残念ながらありません。
とはいえ、発生してしまっても、なんとかする方法はあるでしょ?
増殖させないこと、バイオフィルムの形成を遅らせることは可能です。ヌメリの原因である、バイオフィルムを発生させないための方法と、発生してしまったときの対処方法をご紹介します。
- 日常清掃から、石鹸カスや皮脂を丁寧に洗い流す
細菌の餌となる石鹸カスを日頃から取り除くことが大切です。水で流すよりもお湯で流す方が、効果があります。また、排水溝は汚れが溜まりやすいため、より念入りに手入れをする必要があります。
- 重曹とクエン酸を使い二酸化炭素を発生させて汚れをとる
こびりついた汚れには対応出来ませんが、ちょっとしたヌメリであれば、重曹とクエン酸を混ぜ、勢いよく泡を発生させることによって、汚れを触らずに泡の力だけでヌメリを落とすことができます。皮脂は酸性の汚れ、水垢はアルカリ性の汚れです。皮脂には酸性のクエン酸が、水垢にはアルカリ性の重曹が効果抜群です。重曹とクエン酸で発生するのは二酸化炭素。重曹をまんべんなくふりかけ、15分ぐらい放置し、コップ1杯の水にスプーン1杯の割合で混ぜたクエン酸をかけて発砲させましょう。泡がおさまったらしっかりと流してください。発生するのは二酸化炭素なので、害はありませんが、大量に吸うと体調を崩す場合もあるため、しっかりと換気をしましょう。
- 塩素系洗剤を使う
「ハイター」や「カビキラー」のような次亜塩素塩酸が含まれた塩素系洗剤を使うのも手です。次亜塩素酸塩とは、次亜塩素ナトリウムのことで、カビや細菌の殺菌に効果があります。なお、市販されている商品の違いは、この次亜塩素ナトリウムの濃度の違いです。ただし、大理石の床には絶対にNGです。また、酸性の洗剤を混ぜると有毒なガスが出るため注意をしてください。
それでも効果がないときは
塩素などが使えない材質の床であったり、毎日掃除しているのに石鹸カスがどうしても滞留してしまったりと、効果が出ない重度なヌメリもありますよね。そんなときは業者に頼んでしまうのも手です。
温浴施設の特殊清掃業者であるSPAクリーンでは、床のヌメリ取りもお任せ!薬品を使わずに、特殊なブラシを用いて物理的にヌメリを除去します。もちろん、高い技術でヌメリだけを除去するので、床に傷はつきません。何をやっても効果がでないヌメリにお困りの際はお気軽にご連絡ください。
参考文献
- 森川正章,“バイオフィルム 微生物だってひとりじゃ生きてゆけない? ”,化学と生物, 2003, 41, 32-37.
- 稲葉知大,ほか,“集団微生物学のすすめ-バイオフィルムとその解析技術- ”,化学と生物, 2014, 52, 594-601.
- K. Sauer,“バイオフィルムを退治する”,日経サイエンス, 2018, 48, 68-73.
- 古畑 勝則,”バイオフィルムを知る―レジオネラバイオフィルムの評価― ”
- 国立感染症研究所 感染症疫学センター https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ra/legionella.html
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