温浴施設における転倒事故を防ぐ…施設の管理責任とは?
バリアフリー法で床の滑りに関する項目が追加されたのが2012年、転倒事故は個人の不注意だったものが、施設管理者の責任であるとされ、利用者が損害賠償請求訴訟を起こすケースが増加しています。特に、温泉施設、スーパー銭湯等の温浴施設では、床のヌメリが原因の転倒事故が後を絶えません。このような場所において、施設側がどのような対策をすれば責任を免れることができるのかについて、いくつかの裁判例をもとに紹介します。
安全のためにしなければいけないことってなに?!
「施設側の責任」であるとされた例
盛岡地判平成23年3月4日判タ1353号158頁
当時48歳の男性が、ホテルの大浴場を日帰り入浴のために利用していたところ、内風呂の中央部分に設置されていた2段の階段で転倒したというものです。階段部分には御影石が使用され、ジェットバーナー仕上げ等がされていました。この訴訟は、ホテル側が、自らには責任がない(損害賠償債務が存在しない)ことの確認を求めて提訴され、男性側がホテルの責任を争ったものです。
安全配慮義務の責任が問われたポイントとして、「滑りにくい床だと信じて油断していると急に滑りやすい場所が現れて転倒してしまう」という危険性があげられました。
「施設側の責任」を否定された例
東京地判平成26年1月16日判例集未搭載
当時50歳代の女性(月1程度のペースで通っていた常連客)が、浴場施設を利用していたところ、外湯の源泉岩風呂から出ようとして階段に足をかけた際に滑って転倒したというものです。女性側は、転倒事故の発生について、施設側に土地工作物責任及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をしました。
旭川地判平成30年11月29日判時2418号108頁
当時85歳の女性が、温泉施設を利用していたところ、脱衣場から通路を通って浴場に足を踏み入れた際に、足を滑らせて転倒したというものです。浴場の入口付近には、約8cmの段差があり、段差の浴場側部分には滑り止めのゴムマットが敷かれていませんでした。
女性側は、転倒事故が発生したのは、施設側に安全配慮義務違反があったためであるとして、施設に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をしました。
施設側で必要な対策とは?
土地工作物責任の争点
土地工作物責任とは、土地の工作物の瑕疵によって他人に損害を与えた場合に、その工作物の占有者が負う賠償責任のことです。盛岡地判と東京地判にて主張されていた争点ですが、その際に考慮されていたポイントは主に4つです。
床の材質・状態が滑りやすいか
防滑対策として何が行われていたか(床の加工や手すりの設置など)
掃除がどのくらいの頻度で行われていたか
過去に転倒事故が起きていたか
もし、床面にかなり特殊な素材を使用していて、一般的な素材よりもはるかに滑りやすいというような事情がある場合は、転倒場所の床面が、一般的な温浴施設と比較してどれほど滑りやすいのかという点を検討する必要があります。
安全配慮義務の争点
安全配慮義務とは、「事故が起こらないように注意・配慮する義務」のことです。どの裁判でも主張されていた論点ですが、その際に考慮されていたポイントは下記の通りです。
床の材質・状態が滑りやすいか
階段など転倒場所が転倒を誘発しやすいか
床が滑りやすいことの注意喚起の有無
水が濡れやすい場所・溜まりやすい場所だったか
構造上、客が度々移動することが予定されていたか
被害者の直前の行動
温浴施設によっては、湯船近くには防滑対策をしていても、その他の場所にはしていない…など、全面的に防滑対策をしていないところがあります。そのような場合、利用客にとっては、滑りにくい床だと信じて油断していると急に滑りやすい場所が現れて転倒してしまうという危険が生じます。特に滑りやすい場所には集中して対策を練ることや、多くの利用客の導線となる場所は掃除を頻繁に行う等、可能な限りの対策を取っておくことがのちの紛争に備えた対策になります。
床を滑りやすい状態で放置をしていませんか?
毎日掃除しているけど、、やっぱり床が滑ってしまう。。。
全面的に滑りにくい材質の床に張り替える対策などを取ることも可能ですが、コストがかかるのは事実。さらに、滑りにくい材質にしていたとしても、清掃が疎かになれば滑ってしまうのが温浴施設です。温浴施設に特化した特殊清掃会社のSPAクリーンなら、日常清掃を行っていても取り切れない床のヌメリ除去もお任せ!
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